アグレッシュおおいた

サイトマップ

ホーム
活動概要
旬の情報
体験談
メンバーの紹介
お問い合わせ
「田舎暮らし・農業」
亀井俊宏

亀井俊宏
田舎暮らし

 僕が田舎暮らしを始めたのは、夫婦29歳、子供4歳2歳0歳の時でした。憧れの田舎暮らし、楽しいことばかり想像してきたのですが、現実は本当に“びっくり”でした。
 まずは「水」・・・小学校の時「日本は上水道の普及率98%と教わったような気がしていましたが、まさか自分の住む所が残りの2%だったなんて・・・山から引いてきたダイレクトな水・・・・1ヶ月くらい腹痛が続いた。 月に3日~4回、15kmくらい離れた名水を汲む日々。
 その次は「ごみ」・・・・ゴミ収集車が回ってこない。近所のおばさんが「今のはなんでも石油からできているのでよく燃えるのよ。」なんて言葉を真に受けて、なんでも家の前で燃やした。当時は3歳の子どもが紙おむつをしていたから、紙おむつも燃やした。・・・・「燃えるわけないやん!!
 次は「便所」・・・ボットン便所はまぁいいとして、「バキュームカーはどこに頼めばいいのかなぁ。」と聞くと、「うちは畑に撒くから」「うちは家の裏に撒いている。」とか。「あんたんとこは家の裏に撒いちょったよ。」って・・・・「できるかい!!
「風呂」・・・は五右衛門風呂。これはよかった。風呂あがりでもぽかぽか(笑)
 最後は「家」・・・2年くらい空き家だったそうですが、まぁ2年くらいなら大したことじゃあないやろうくらい簡単に考えていた。当時は大工だったので予算100~200万円位かけて悪いところを直す計画だったのですが、床をめくれば白蟻だらけ、雨が降れば雨漏り。雨の漏る場所を調べて屋根裏にのぼれば、雨漏りする場所に蒲団が重ねてあるじゃないですか!家主さんが住んでいたころから漏っていたんやないのって!計画を変更して住む所を探すけど、「家が悪いから空き家になる。空き家になるから家が悪くなる。」という訳で代わりの家も見つかるはずもなく、通いで農業をするのだったら、僕の頭の中の田舎暮らしは成り立たずで、本当につらかった。嫁さんにも迷惑をかけた。
 今は、水は上水道が通り、蛇口をひねれば水が飲める。ゴミ収集車も来てくれるようになり、家も何とか自分で建て雨漏りもないし水洗便所にもなった。
まともな生活になるまで6~7年かかった。これから田舎暮らしを始める人は、当たり前のことやけど、よ~く下調べをしてから決断してください。最初の4~5年は今でも思い出したくないくらい辛かった。思いつかないでしょうが本当にごみを燃やしたり、水を汲みに行ったりしていたら、朝昼晩食事をして風呂に入るだけで1日が終わった。
 今の時代に生きているありがたさを知ることができたような気がします。ヘビーな田舎暮らしをしたい方にはもってこいでしょうが(笑)

農業

 僕たち夫婦はアウトドアブームに乗って、4駆に乗り山登り・自転車・バイク・釣り・冬はスキー・スノボーと色々していました。
 自然が遊び場=田舎=百姓とつながって農業をしようと思いました。農業は飯食って遊べたら何でも良かった。子どもが学校へ「いってきます。」とか「ただいま。」を見届けたり、 食事を家族一緒に食べたり、ささいな日常が幸せであればよかった・・・・で、野生の感で「九州」→野生の感で「苺」→大分県!
 僕が苺作りをする頃、市や農協は「苺」の産地をもっと盛り上げようとしていました。僕が始めた年の前後に12、3人の方が一緒に始められました。その前からしていた方も含め、約30名の方がいました。今現在一緒に始めた方の1/3は苺作りを諦めて、残りの人も現状維持、もしくは規模縮小と、結局新しく始めた人たちはうまくいかなかったりして、昔から作っている人ばかりが今でも残っているような感じです。数字を出すと大半の方が軌道に乗せることが難しいのだと思います。僕自身軌道に乗ってない状態ですが、なんで僕が今でも、何とかかんとかやって来れたか?唯一つ、近くに苺作りの名人がいて、色々教えていただき、いい苺がたくさん取れるようになったこと。それだけだと思います。
 苺がたくさん取れる。→収入がある。→いい苺ができる。→高く売れる。 ほんとこれだけ!! 苺作りの名人は、今では大分県苺生産者の会長さんをされるような人であり、一緒に始めた人で順調だったと思う人は「この名人に教わった人ばかりではないですか。」と考えてみてびっくりです。本当に僕はラッキーやった。たぶん近くに名人がいなければ、今頃はどうなっていたか?・・・僕の場合うまくいかなかったと思います。本や資料を読み漁って知識を得ても、経験がモノを言うので勝てないのです。その体験を惜しみもなく教われたことで、いらぬ失敗もせずにスムーズに自分の経験につながっていき、感謝してもしきれない程です。本当にありがたいことだし、自分自身にすればラッキーやった。今でも気になることがあれば、すっ飛んで行きます。

これから始める方へ

 自分自身、いま、農業に対する不満があるとするなら、土地も持てないことです。順調に皆さんの就農が進むとするなら、始めた以上に土地が必要になってくると思います。初めに借りたり買ったりする畑のすぐそばに、土地を広げられる要素のあるところに就農した方がいいと思います。空いていると思っても、案外貸してくれなかったり条件が悪かったり、借りられても遠かったりと思うようにいかないことが多々あります。気をつけていた方がいいです。
 あと、どこの産地、地域にも、1、2人は名人みたいな人は必ずいると思うから、とにかく頼ればいいと思う。僕も他の作物を作っている人から「とにかく嫌われるくらい通え。じゃないとうまくいかない。」と言われそうしました。それでよかったと思う。それが早道なのだと僕は思うのです。
 それでは頑張ってください。